読書と感想と記録
個人的な読書の感想と記録。金井美恵子のファン。
2018年5月10日木曜日
武田花『猫光線』
実に猫猫しい。実に猫猫しくて、大変いい。実にふてぶてしくて、大変いい。猫でしかない。他のなにものでもない。猫。猫。猫。他のなにものにもなるつもりがない。ただ猫であるだけ。ただ猫でいるだけ。それでいい。それがいい。何よりも。
花さんはいつも通り同化している。異物感なく入り込んでいる。いつも通りウロウロしたり、フラフラしたりして、それ以上でもそれ以下でもない風景の中に、すっかり溶け込んでいる。泰淳もいるし、百合子さんもいるし、お化けも来るし、おっかない人もいるし、当然猫もいる風景の中に、花さんはいつも通り、普通にいる。色々いるけれど、ごちゃごちゃはしていない。猫それぞれ。人それぞれ。それぞれ完結している。猫も人も花さんも各々がただ各々を生きている空間の、ただ各々が各々であるだけの空間の、長閑な快さ。
猫光線
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