彼等は決して、やめたりしない。止まりはしない。自らの熱情のために。自らの熱情そのものであるもの達のために。それがなければ意味がない、と言うような、最高に乗れる、と言うような、自分達の最高のために。誰も彼等を止められない。誰も彼等からそれを奪う事は出来ない。あんな馬鹿げた事ばかりしかしない連中になぞ、奪われはしない。
あらゆる酷さを見る。あらゆる凄惨さを、胸糞悪さを見る。目の当たりにする。身をもって体験する。嫌と言うほどに。どうにかなってしまいそうなほどに。泣き叫ぶほどに。ぶっ倒れてしまうほどに。それでも彼等は戦い抜く。何とか踏みとどまりながら、当然。先を見るが故に。彼等は先を、戦争の先を、戦後を見るが故に。利用するだけ利用し。あとは捨ててしまえばいいのであるし。おさらばしてしまえばいいのであるし。吐いて、自嘲して、やり過ごして、瀬戸際を、けれどうまいことやってのける。彼等は最後まで、しっかりと、やってのける。最高か。
その情熱の本物具合と戦い方の素晴らしさよ。心底享受し耽る姿も、何とか踏みとどまり続ける姿も含め。絶対に負けない。ずっと負ける気がしなかった。初めからわかっていた気がする。エディが語り始めた時点で既に。
激熱いし、熱狂的であるし、若さ溢れているのだけれども、まったく綺麗事などではない。浮ついてもいない。拠り所と言う言葉では生ぬるい。誰にも奪えないような、それがなければ意味がないと言うような、とんでもなく厄介な、最高のための戦い。彼等を抑圧する事の無意味さよ。
佐藤 亜紀
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