2020年5月3日日曜日

金井美恵子『あかるい部屋のなかで』再読の記録

息苦しいまでのあかるさと嫌悪と快楽。狭い、酷く狭い。閉塞的で。密接していて。間隙のなさ。絶え間のなさ。中和するもののなさ。ずっと濃い。ずっと濃いまま。快不快いずれも。薄まって行かない。弱まって行かない。そこで生きている。鬱陶しく、煩わしいまでに、濃いそこで。狭く、熱く、暑苦しく、煩く、鈍く、愚かしく、柔らかく、無神経に、無遠慮に、物憂げに、繊細に、生きている、溺れている、溺れてゆく。 ‪
とめどない事。とりとめのない事。きりのない事。切れ間なく、区別なく、続いている事。続いて行く事。繰り返しである事。堆積して行く事。あてどのない事。無際限である事。脈絡のない事。猥雑である事。溢れている事。連なっている事。連なって行く事。次々と、連なって行き、繋がって行き、膨らんで行き、迷い込んでしまう事。戻れなくなる事。彷徨う事。漂う事。崩れ行く事。ありふれている事。呆気のない事。危うい事。不明瞭な事。見えない事。先の見えない事。達し得ぬ類の事。到達する事など決してない事。不毛である事。‬到底、し終えてしまう事などない事。およそし尽くす事など、出来ないような事。或いはそのすべてである事。

到達する事なく、辿り着く事なく、繰り返し続け、反復し続け、とりとめなく、とめどなく、漂い続けているかのよう、彷徨い続けているかのよう。緩やかに溺れて行く。酷く緩慢に、呆気なく、溺れてしまう。その甘やかさ、痛み、迷宮めいている事。