行き場のなさ。信じられるもののなさ。縋るべきもののなさ。自らの言葉に呼応するものの、肯定を示してくれるもののなさ。立ち向かう方法を持たぬまま、何一つ通じぬまま、見えぬまま、生きて行くと言う事。救いも、終わりも、与えられる事なく、壊れ行くほかないと言う事。脆く、不安定で、けれど頑なで、危うい。
その不安を、絶望を、憔悴し行く姿を、憎み、疎んじ、目を背けるもの達の身勝手さ。見捨て、向き合う事なく、どこまでも無関心であるもの達の冷酷さ。自らにはわかり得ぬが故に。手に余るが故に。その言葉を、苦しみを、自らへの悪意であると、反抗であると捉えるが故に。彼等は決して、見ようとしない。認めようとしない。彼等はただ軽んじ、否定し、遠ざけるのみ、逃げ出すのみ。噛み合う事なく、埋まる事なく、世界はいつまでも閉ざされ続けている。
その孤独の、諦めの、根深い事。支配する側の狡さを、醜さを嫌悪しながら、けれどどうする事も出来ず。息苦しく、後ろ暗く、ずっと、居心地の悪さを感じていた。