2020年8月6日木曜日

皆川博子に関するツイート幾つか

皆川博子の世界、その沼の如き深く濃く暗い闇の内、奥底、数多の魅惑が棲んでいる。どれだけ多くのものを含んでいるのだろうと思う。底なし沼。多くが潜んでいる。矢川澄子さえいた。森茉莉さえいた。

『辺境薔薇館』内、服部まゆみの文章を読む。皆川博子について、その言葉、その作品が、如何に美しく豊かで蠱惑的であるか、妖しさに満ち毒に満ち残酷さに満ち、如何に人を魅了するか、蒐集すべき類の煌めき、緻密さを備えている事、或いは皆川博子その人との交流について。愛らしく、尊く、慕わしいその交流について…。

皆川博子作品に沈殿しているものの深遠さ…。愛おしい、恐ろしい。それは陰翳の部分。密やかで、寡黙な、闇の部分。蔑まれ、疎んじられ、軽んじられ、黙殺されて来たもの達の。苦しみであり、痛みであり、諦めであり、叫びであり。喜びであり、愉悦であり、願いであり、欲望。

皆川博子の世界における、『海賊女王』のアランや、『聖餐城』のアディや、『クロコダイル路地』のジャン=マリや、『少年十字軍』のルー、などと言った登場人物の重要さよ。彼らによって、繋ぎ止められる気がする。

自分は皆川博子の『絵小説』、特に「あれ」の、深く、妖しく、恐ろしく、密やかな暗闇に浮かび上がる、宇野亞喜良のあの絵が好き。皆川博子の言葉と、溶け合っている。思い出す時、イメージは言葉でもなく、絵でもなく、言葉と絵が溶け合い、一つの魅惑と化したもの。