それは埋もれる事にも似ている。薄闇に横たわり沈み行く、眠りにも似ている。柔らかく、親密な死へ。その魅惑と言うべき死を含み、匂わせる濃密な暗がりへ…。読む事の、生き直す事の、重く、気怠く、憂鬱な喜び。苦しみを伴う、鮮烈な、唯一無二の、喜びとめまい。
堆積する言葉と時間。死の気配、抗えぬ訪れ、誘惑。塵芥、ほこり、饐えたにおい。腐蝕、汚穢。快楽。幸福。煌めき。それも鋭く、獰猛な。熱。痛み。柔らかで、甘やかで、残忍な。膨らみと高まり。めまい。滅び。魅惑であり過ぎる。『アカシア騎士団』は、自分にとって、あまりにも魅惑であり過ぎる。
「暗殺者」、「永遠の恋人」…濃密に感じる死。獰猛で、残酷で、唐突で、柔らかで、抗い難く、逃れ難く、あまりにも蠱惑的な。魅惑としてのそれ。いずれも猫であるそれ…。