辛過ぎる。吐きそうになる。相当な絶望感。希望も決して痛快なものではない、当たり前だが。ウワアーとかヒェーとか奇声しか出ない。途中で気が滅入ってしまい、しばらく中断していたりもした。とんでもをとんでものまま、現実的な恐怖や危機感を物語り思い知らせるどえらい武器と言うか凄みにしてしまう言葉とディテール。とにかくディテールが凄いと思う。そのディテールの数多によって否応なしに体感させられる。様々な言説や仕組みや構造の歪み、グロテスクさ。
あとめちゃ重要な事なのだけれども、やっぱり笙野頼子の小説は面白い。言葉を以って抗する。一度壊し、解体する。ただ真逆をやるのではなく、リライトするのではなく、全部ふまえたまま、かつ、新しく作り上げる。膨大な数のイメージと事実を用いて、間隙なく、強く堅牢なフィクションへ。
〈私はただシーツにでもくるまれ?あるいは美しい布で飾られて静かにしていたい。〉…けれども自分が最も惹かれるのは笙野頼子のこう言った文章かもしれない。