突如として自分を失い、他と混合してしまうものの可笑しさ。枠を隠れ蓑に、区別のつかない与太を繰り返す連中のどうしようもなさ。ただ組み込まれているだけであったもの達の悲哀。彼等もまた何だか妙に近いと言うか。笑って通り過ぎる事の出来ない齟齬が沢山。その分悶々と悩み、間違え、探し続けるもの達の姿には安堵。
そして自分があると、気づいたもの達のたくましさよ。図太さよ。力強さよ。ここにいると、語り手よりいでた叫びもいい。徐々に近づいて来る物語。徐々にわかって行く語り手。距離は埋まり、道は繋がり。扉を開け、進んで行く快さよ。
イタロ・カルヴィーノ
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