軽視、黙殺、理不尽かつ不当な仕打ちの数々。上手くいかなさ、そぐわなさ、居心地の悪さ。居場所のなさ。世界を生み出すほどに籠るもやもや。必要不可欠なオートロック。分厚い隔たりとして。外の流入を防ぎ、内の濃さを保つ為の。外とのズレにはもう、笑ってしまう。憤懣は当然、けれど笑ってしまう。
他人事に対する、理解出来ない事に対して発する笑いと言うよりは、(自分自身にも何となく心当たりがあるが故に)多少の共鳴を含む、気恥ずかしい笑い。籠りに籠ったり沈んだり彷徨ったりおちょくったりドロドロに崩したり、充満する苦しみも居場所のなさも、そのやり口も、自分にとってどこまでも好ましいもの。大体好きだが特に、この辺りの笙野頼子作品はサイコーである。
講談社 (2013-11-22)
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