不可解で、超いかしていて、可笑しさを一つ一つ捉えて自分自身の当然に当てはめる暇もないほどの刺激に溢れていて。けれどそこにある苦しみやら悲しみやら、痛みやらもどかしさやら興奮は、随分と近しいもの。何だか妙に馴染む。ふとした瞬間に紛れ込む連想の脈絡のなさ、光景より連想する光景、連想したその光景(記憶であったり妄想であったりする)の出処の見境のなさ、突拍子のなさ。意外なほどの近しさを備え、胸に迫って来る。
言葉が魅せ続けるそこは、自分自身の当然の範囲などをゆうに超えた、見慣れぬ不可思議さに満ちた場所であるはずなのに、随分と近しい。随分な近しさが、随分な強さを備え、胸に迫って来る。そしてその感覚がまたすごくいい。掴み難さの中、それらだけがおさまるべき場所に落ちて行く。何と言うべきか、超いかしている。
ケリー・リンク
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