それは、大切であった事に思い当たった事、と言うべきか。その時はまるで思いもしないのに、ふとした瞬間、今との繋がりを淡く、それでいて確かに感じる類のこと。忙しなく流れ、掴めずに溢れていく時の中で、そこだけが緩やかに、穏やかに、色さえも未だ豊かに、いまなお息づき続けている遠い時間のこと。喜びだけでなく、楽しさだけでなく、迷いも悔恨も。苦く、新しく、瑞々しい、かつて自分自身であったもの達、そして今の自分自身となるもの達。そのすべてを今一度なぞるような。静かで、哀しく、温かな試み。それ故に慕わしいと感じる。寄り添いたいと感じる。