最高であった。最高に楽しかった。書きに書きまくってある。それも素敵に好き勝手。次々脱線する。全然戻って来なかったりする。気にせず進んだりする。何度も言ったりする。酷い事を言う。当て擦りを言う。何故嫌いか、どこが駄目かがよーくわかる、いつものやり口で言う。笑えるし、手強いし、尽きる事がないし、嫌味であるし、もう凄くに腹立たしい。
自分もそれ知っているな、としばしば思う。平板であるとウンザリしつつ、本当は満更悪くもないと感じている日々の中に。あるな、と思う。読めば立ち上って来る。読む事で自分もまた今一度、或いは新たに体験する事が出来る、と言う至福。ああ、金井美恵子を読んでいるな、と思う。決して一筋縄ではいかないその手応えの、甘美さたるや。大いに楽しむ。読む楽しみを大いに満たす。
金井 美恵子
文藝春秋
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