2018年5月24日木曜日

松浦理英子『ポケット・フェティッシュ』

松浦理英子のエッセイはどうしてこんなにも面白いのか。どうしてこんなにも安らぐのか。大変に居心地がいい。物凄く効く。性器結合的性愛観及び男根中心主義的なものではない視点で物事を見る快さよ。非性器的な快楽を求め、見出し、愛する姿勢の好ましさよ。松浦理英子の感受性のありようと言うか、その言葉や見方や捉え方や感じ方が好き。感度の高さや、その定まっている感じ、真摯で、研究熱心で、自らに対し、また自らの感受性に対し、自らの快楽と欲望、官能的な高ぶりに対し、鋭敏である所が好き。松浦理英子の言葉、とてもよくわかって気持ちがいい。かなり羨ましい場所にいると思う。私も行ってみたいと思う。
〈性器に執着しないということは、官能性は人の体のそこかしこに偏在とすると認識することである。〉、日常的で基本的な快感、日常的な皮膚の快感、皮膚の官能性、非性器的な快楽、性器的ではない官能的なときめき…こう書き出しただけでなごむなごむ。松浦理英子の言うそれは、男根中心主義的な欲望とは異なる、性器中心主義的性愛観に基づくそれとは異なる、もっと自由で、もっと強烈で、もっと豊かで、息苦しくなくて、気持ちのいいものなのだ。

とても癒される松浦理英子の言葉。とても刺激的で扇情的で、目からウロコな松浦理英子の言葉。松浦理英子の言葉がよく効くと言う事は、私もまたそう言った思いを持っているのだと言う事であって。松浦理英子の言葉によって慰撫され、煽られる事で、私は私を自覚する。


ポケット・フェティッシュ
松浦 理英子
白水社
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