自身が持っているもの、自身がそれまでに身に付けて来たものをよく知っている人であるように思う。自分自身の感性を決して裏切らない。決して疎かにしない。直向きであり、兎に角勤勉。忙しく、慌ただしい日々の速さに負け、重く、鈍くなってしまう事を許さず、鋭敏に、静かに、自分自身を保ち続けようとする。流されてしまう事なく立ち止まり、しっかりと自分自身を確かめようとする。何て魅力的な人なのだろう。
自分にとっては。好きな人達の好きな人。好きな人達の言葉の中でまず、出会った人。石井桃子。この人を慕い、頼りにする人達の気持ちがよくわかる。自分だって石井桃子が近くにいたら、たずねていってしまうだろう。何て優しい。何て穏やかな。そしてもっとお話をききたい。もっとお話をして欲しいと、せがんでしまうだろう。何て心地よい。柔らかくて快い音の多さ、読みやすい、と言うよりも、ききやすい、と言う感じがする。
石井 桃子
河出書房新社
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