気ままさを許されることで縛られる息苦しさ。何か次の姿へと変わり行く前にも似た醜悪さがあり、多くの逡巡と倦怠、虚無感が混ざり合ったような、消化し難い、陰鬱なわだかまりを残す。
それは日記であり、手記のようであるが、その手触りはどこか曖昧で、まるで幻の中を歩くような、不確かさがある。だが記されているものは、傷口より溢れ出ることさえ叶わずに溜まり続けていた膿のように汚く、また切実であった。輪郭さえ朧げな空間であるからこそ、醜悪な膿の生々しさを、強烈に感じる。
集英社 (2014-07-04)
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