その女性にとって老いは最早、目を背けたくなるほどの純粋な切実さを以って痛烈に迫り来る性の、性を拒むための、隠れ蓑とはならない。生きている限り女という性もまた、消え失せることはなく、自らの身体に宿り続けるのだから。当然のように、応え、求められるまま、与えてしまったのだから。
それは幾つもの摩擦、曖昧さに彩られた性愛とは違う、もっと率直な、愚かしいほどに率直な求め。単純であるが故に揺らぐことのない強靭さを見せつけられ、逃げ場もなく、抗いを、嫌悪を、不快感を、懸命に示しながらも、追い詰められ、逆らえぬ惨たらしさ。恐ろしい、ひどく恐ろしいと感じる。逃げられぬことも、抗えぬことも。
美醜を備え、時と共に変化する肉体にこそ。或いは、色豊かに燃え、くすぶる感情にこそ。求めるべき価値があると信じるものたちは、可笑しいとはねのけ、嘲笑うのかもしれない。だが、老いさえも言い訳にならない、老いさえもその求めを拒む理由として、まるで意味をなさない無力な叫びと化す、永遠の取り立てが、そこには確かに存在していた。顧みられることのない、密かな陰翳を明らかにされるような、暗い快さを捉えながら、それでも、途方もなく恐ろしいと、不穏な余韻に沈む。
