2015年7月5日日曜日

『マドゥモァゼル・ルウルウ』

何という都合の悪さ!誰もマドゥモァゼルを止められない。窮屈な囲いをやすやすと、泥臭さをまとわず、いとも簡単に破っては、退屈さの裏っ側、そこかしこに隠れているたくさんの愉しさを見つけ出す。…あれ、それってマリさん…?
くるくるとおしゃべりする言葉の奔放さ。大人を困らせ、圧倒し、挙句魅了してしまう。なんてチャーミングな。全然都合のいい可愛らしさじゃない。まったくもって手に負えない、大人にとっての都合のよさをある程度鑑みて、それを可愛いと言うのであれば、その枠組みの中にはまるでおさまらない。まったくもって天衣無縫の可愛らしさ。言動そのもの以上に、そのお転婆さ、お転婆であること、多くの人たちにとって都合の悪い存在であることの方が、ひどく痛快に感じられる。いきいきと輝いていて、すごくいい。満ちているのは愛か、濃度は高いがべたつかない。

森茉莉、なんだか愉しそう。愉しさと愛が、もわわわんと充満している。満ち満ちている。装丁も大変綺麗で、宝物が増えた気分。


マドゥモァゼル・ルウルウ
ジィップ
河出書房新社
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