読書と感想と記録
個人的な読書の感想と記録。金井美恵子のファン。
2016年6月4日土曜日
レオノーラ・キャリントン『耳ラッパ 幻の聖杯物語』
大変面白い。大変いい迷宮感。度し難く、おかしく、矛盾し、悲惨である世界。その基盤であるもの。支配し、覆い隠すもの。ぐるっとひっくり返したり、粉微塵にしたり、ぐにゃぐにゃっと曲げたり、丸めたり。陽気に、軽やかに、色鮮やかに。皮肉るよりももっと容赦ない。もっと小気味よい。シレッと奇想天外。ドライに愉快痛快。
お婆さん達超いい。素敵過ぎる。迷い込んで、ともに踊って、ともに探して、読み解いて行く感じがある。読み解いて行くほどに、解き放たれて行く感じがある。現実より。支配より。覆った世界。その爽快な事。そこで生きる彼女達の姿。奔放であり、自由であり…そのチャーミングな事。
何というか、効果的なやり方。楽しく、明るく、奇抜で、不可思議で、好ましく、魅力的で。大変幸せな解放。大変幸せな破壊と新生。
耳ラッパ―幻の聖杯物語
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