辛く、切実な試みの、その過程において自分が得たものへの自信と確信。自分自身の内を満たす静けさや明るさへの。貪欲さだけは未だ残る。邪気のない、妙に澄んだ貪欲さが。今は、肯定を求め続けていた。不安もなく、疑いもなく。得られるとわかっている肯定と共鳴に対し。その無邪気な貪欲さを発揮し続けていた。
そこに見える清澄さ、純粋さ、邪気のなさ…何というか、(自分自身の内に広がるもの、善悪、美醜のすべてを)見尽くし、越え尽くし、到達したもののそれ、と言う印象。高橋たか子本人の言通り、大庭みな子を連想。
漠然と感じていたものとの思わぬ遭遇。漠然としていた事さえ合っていたのだと言う確信。自分にとって高橋たか子は、ずっと感じていたけれど、言葉に出来ずにいた事を、毅然と言葉にする人であり、怖くて出来ずにいた試みを、幾度となくやってのけ、またそれをし尽くす人。不可思議な近さを確かに感じているのだけれど、現実においては手の届かぬほど遠い所にいる人。