長閑だ。それも色々な人がいる事や、色々なものがある事が当然である長閑さ。彼等の不思議さにその都度引っかかる必要のない、長閑な景色。怖い人。静かな人。賑やかな人。畑。山。海。廃屋。廃棄物。汚物。工場。公園。お店。人家。犬。猫。鳥。モグラ。色々いる。雑多である。彼等が何故あるのか、何故そうしているのか。不可解だと訝しむ事もなく。良し悪しを語る事もなく。ただ好きか嫌いか、快いか否かだけが何となくわかる。心地よい武田花のエッセイ。
武田花は大体、色々な所に紛れ込む側の人であるので。元々いる方にとっては、物珍しく、奇特な存在でもある訳で。色々な目に遭う。勿論いい時もあるが。結構散々である気がする。けれど色々な人がいる分、反応が色々である事もまた、当然であって。武田花の言葉には、やはり快不快が何となしにあるだけ。好ましい。
武田 花
筑摩書房
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