読書と感想と記録
個人的な読書の感想と記録。金井美恵子のファン。
2017年4月8日土曜日
百年文庫『湖』の記録
何と言っても小沼丹。「白孔雀のいるホテル」、大変面白かった。その安宿では夢ばかり美しく典雅に、魅惑的に広がって行く。何と長閑な人々。色々起こるのだけれど、特に何も解決しない。夢ばかり順調に膨らみ、存在感を増して行く。何と可笑しな日々。そして何と愉しい予感。いい具合に気が軽くなる。
木々高太郎の「新月」もよかった。自分こそが殺人者であったかも知れないと明かす言葉の哀しさ。妻を心より愛していた為に。心より慈しみ、大切に思うあまり、ひとり苦しみ、不安に溺れ、その死を願ったのではないかと。真実のものであったその哀しい愛の、遣る瀬無い事。世にも綺麗な小品。
(029)湖 (百年文庫)
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