その醜さを、愚かさを。激しく嫌悪したまま。共鳴する。暗く、歪んだ熱情を秘する人々に。熱情を秘する苦しみに。そして期待する。この上なく淫靡で、残酷な結末の到来を。彼等が自らに相応しい、凄艶な最後を迎える事を。惨めに、けれど艶やかに己が熱情を持て余す彼等の姿に。期待は押し留めようもなく募る。
既読作多し。けれど引き摺り込まれ、身動きが取れぬ中で果たす再会は酷く官能的であり、その喜びは格別のもの。奥深く埋もれ、溶けかかっていた記憶が徐々に輪郭を取り戻して行く感覚を、動かぬ身体の内にて確かに捉えたまま。再び溺れるほかないと言う、格別の喜び。最高であった。
皆川 博子
中央公論新社 (2017-07-21)
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