読書と感想と記録
個人的な読書の感想と記録。金井美恵子のファン。
2017年1月3日火曜日
タニス・リー『冬物語』
冷たく、厳しく。無慈悲であり、過酷である冬。緩みなく、滞る事なく、張り詰め、澄み渡る冬の。美しさこそが。物語を高める。鋭く、鮮やかに。物語を際立たせる。
恐怖も。静寂も。孤独も。決意も。躊躇いも。迷いも。思慕も。哀れみも。不意に満ちる闇の、その濃さも。追い、追われ続ける宿命の、その逃れ難さも。立ち上がり、抗い。小さく、非力に、けれど諦めず、一つずつ乗り越えて行く様も。考え、向き合い。最後まで勇敢であり続けたもの達に相応しい、温かな結末も。何もかもを覆い尽くそうと迫る冬の、残酷さによって。際立つ。鮮明に、鋭利に。深まる。
冬物語 (ハヤカワ文庫 FT 43)
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