王者を冠するに相応しい、凄まじい存在感。彼等ほど種の違いと言うもの、自分とは別の生き物である事を実感する動物は他に居らず。だからこそ畏怖し、けれどそれ故に惹かれてもいた。彼等の生きている姿を、彼等が生きて行く上で、恐らくは特別なものではない瞬間瞬間を、それ故に見たいと、知りたいと思っていた。そのすべてが叶う喜び。
小さなリスを狩猟する際の不器用さ、失敗が多い事。サケの頭と卵のみを食べる事、雄と雌を見分けているのか、食べずに逃がしてしまう事があると言う事。辛抱強く乳を与える母グマの姿、母と子の戯れ、子グマ同士の戯れ。厚く、固そうな毛並み。黒々と潜む目。大自然を、四季を、生き延び、闊歩する姿。そのすべてを見る事が出来た、知る事が出来た喜び。途方もなく貴重な一冊。
星野 道夫
平凡社
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