見過ごしてしまっていたものの、読み流してしまっていたものの多い事。しっかりと受け止め切る事が出来ず、取りこぼしてしまっていたものの多い事。思い知る。もっとよく耳を傾けなければならない。もっと見つめ直さなければならない。やはり幾度となく、向き合わなければならない。
須賀敦子の声を聴きとる…。その言葉より。丹念に選び抜かれた言葉の、その一つ一つより。さり気なく配され、巧緻に組み込まれている言葉の、その一つ一つより。その言葉の、内にあるもの。意味するもの。奥底に潜むもの。色合い、重さ。言葉にしたと言う事、言葉にしなかったと言う事。取りこぼしてしまう事のないよう、もっと、出来る限り、近付いて。
松山 巖
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