金井美恵子しか読みたくない時間が、自分には確かにある。金井美恵子だけでよいと確信する瞬間が、自分にはしばしばある。それは恐ろしいぐらいに幸福な事だ。金井美恵子を読むために、自分は読み続けるのであるし、聞き続けるのであるし、見続けるのであるし、生き続ける。金井美恵子を読むと言う至福のために。多くの物語を、小説を、光景を、感覚を、言葉を、自分は吸収し続ける。
自分は幾度となく金井美恵子を読み、金井美恵子を読む事の、その喜びと快楽と幸福について語って来たけれども、結局は金井美恵子の言葉を以って金井美恵子を語る以上の方法など、自分にはないのではないかと思う。
…インタビューも至福過ぎて、諸々読み返したい気持ちにもなったし、やがて至福と化し、幾度となく読み返すべきものとなる、自分がまだ読んでいない金井美恵子の小説を更に求むる気持ちにもなったため、『ピクニック、その他の短篇』をたまらず注文する。
金井 美恵子
朝日新聞出版
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