2019年2月15日金曜日

金井美恵子『たのしい暮しの断片』

日々の暮しの中にある、気持ちのよいこと様々。好きなもの、愛用品、楽しみ様々。これ、と言うようなもの。こう言う時にはこれ、と言うような、自分にはこれ、と言うような、もの、こと、大小問わず。言葉と絵で。そのよさを。自分がそれを、如何に好きで、如何に気持ちよく使えるか、と言う事を。それらが如何に心地よくて、優れていて、自分達の暮しに定着していて、ちょうどよいか、と言う事を。その可愛さや、美しさや、丈夫さや、美味しさや、みずみずしさや、爽快さや、親密さや、優雅さや、馴染み深さや、清潔さや、扱いやすさや、嬉しさや、ていねいさや、柔らかさや、温かさや、幸福感、と言った事を。素晴らしく豊かで、充実している、文章を絵を以って。
本当にもう、至福、としか言いようがない。読んでいて幸せ、眺めていて幸せ、持っているだけで幸せ。何かと面倒で、煩わしい事や、うんざりする事の多い日々の暮しと言うものを、自分がこれからも続けて行く上で、その糧と言うか、楽しみとするのにこれほど最適な本はない。自分にとってのこれ、と言うもの。これがあるから幸せ、と言うような。
日々の暮しの中の、好きなもの、愛用品、楽しみ。よいもの、素敵なものばかりある。その親密さが羨ましいと思う。そう言ったもの達と暮しとの。本当によく使っていて、馴染んでいて、暮しと密着している、自分達の暮しにはそれがちょうどよくて、定着している、と言うような、その親密さが。ああ、いいなあ、としみじみ思う。自分にも少しはあるし、持ってもいるけれど、全然だなあ、と思う。楽しさにあてられる幸せ。
〈さらに楽しく美しい絵と文章で埋められた本が、またまた、誕生した〉のであるし、家事のあれこれを少しでも楽しく、ということを提唱しているわけでは当然なく、〈見つけてみれば大小問わず様々にある気持ちの良いことが日々の暮しの中に探してみれば案外あった、ということで〉出来ているからこそ好きなのだ。



たのしい暮しの断片
たのしい暮しの断片
posted with amazlet at 19.02.15
金井 美恵子
平凡社
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