2019年12月19日木曜日

『武田百合子対談集』

誰と話していても、際立つ。その素敵さ、気持ちのよさ、魅力、瞬発力、古び得なさ。鮮やかで、本当に鮮明で、鮮烈で、相手が誰であっても、負けないし、くすまない。もっともっと、その言葉を読みたい。もっともっと、喋って欲しい。色々な事について、言って欲しい。その好悪をもっともっと知りたい。紛い物ではない、その輝き。
やはり金井姉妹とのおしゃべりが好き。この上なく合致していると言うか、齟齬がなくて、読み違いがなくて、通じ合っている感じ。一番引き出していると思う。武田百合子と言う人を。どれだけ凄い人であるか、どれだけ優しくて、なめらかで、そして一筋縄ではいかないか、乗りこなせ得ない人であるか、よくわかっている。よくわかっている金井姉妹との、おしゃべりであるからこそ。こんなにも楽しく、嬉しい。他にない、幸福な場。

武田百合子は本当に素敵な人だ。頭がいい、目がいい、口がいい、顔がいい、感性がいい。言うことすべてが面白く、わざとでなく、新鮮でいい。過去や未来でなくて、今、と言う感じ。この瞬間、と言う感じ。
何と言うかこう、簡単に言ってしまいたくない。どう言っても陳腐になってしまう。どの言葉にも落とし込んでしまいたくない。その魅力はどの言葉にも収まらないし、括れない。そんな事はしたくないし、出来ないし、し得ない。


武田百合子対談集 (単行本)
武田 百合子
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