決して触れはしない。胸中を迸る愉悦を乗せ、彼女はただ、彼等を見つめ続ける。ねっとりと、執拗に。昂りが導く夢想の甘やかな残酷さ。濃密な悦びの内に、健やかな彼等への素朴な憧憬、自らが抱えた奇妙ものたちに対する、後ろ暗い感情が入り混じった視線の、何と官能的であることか。
過去の自らをも含む、女児というものへの、激しい嫌悪感。マゾヒストとしての素顔を秘めた、自らの魂が欲する、被虐的な色合いを帯びた快楽。それらすべての歪みさえ、やすやすと受け入れてしまうことが出来るほどに、彼等の世界は、広く、深い。痛みさえも、恐ろしささえも、快く。酷く、密やかな歓喜の世界、ただ静かに、耽り、溺れ落ちる。
河野 多惠子
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