言っていることも、やっていることも、普段とそう相違はない。平素通り、負けぬためのものであるのだろうし、叩きのめすためのものであるのだろうし。自らの武器であり、鎧とするためのものであるのだろうし。それこそ笙野頼子らしく、悪意も皮肉もたっぷり。だのにどこか、可愛らしい。
人を小馬鹿にしたような言葉にも、当然激しいものは滲む。しかし、それでも何故か勝る、可愛らしさ。用いられる言葉の毒気さえ、トゲトゲさえ、最早大変チャーミングなものに感じられる不思議。嫌悪を象る言葉の軽快さ、すとんと胸におさまるような、コンパクトな痛快さが何だかたまらなくて、好ましい。