浄化作用としての物語が帯びる凄み。根深い嫌悪と抵抗、執拗に迫り来る敵意と擦れ合う執着、共に在ることの快さ、伸びやかな日々の楽しさ、不幸な隔たりに入り込む哀しみ。多くを象り、多くを託された動物たちの活躍、暗躍、奇行。言葉もイメージも、魔をまとう情熱も、いずれも欠けることなく互いを高め合い、昇華を促し合う。
突き抜けた瞳が捉える世界の異質さと、それを頑なに貫き続ける言葉の危うさ。しかし奥底に感じるのは、溢れる才と彩、ひどく豊艶なしたたかさ…枷にさえ愛撫を施すかのような、その怖さ、その強さ、驚くほどに跡を残す。
レオノーラ キャリントン
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