戦場に舞い、不屈の海を走り、作り上げ、鍛え上げ、奪い、護り。一人ではないために。時に弱さとなる大切なものを持つために。互いの境目を失うほどに、深く溶け合う唯一無二の支えをもつために。その身に太陽を宿すために。その強靭さ、その逞しさ、その奔放さ。眩い勇姿、その孤独、その苦しみさえも燦然と。生は受け継がれ、語り継がれ、永遠の海を行く。
最高であった。抜群の名残惜しさ。その生に余分はない。見事に使い尽くした。使い切った。名残惜しさもまた悔恨を含まない、快いもの。膨大な時間を共にしたための、重厚で快いもの。
皆川 博子
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