2016年2月19日金曜日

津島佑子のこと

悲しい。もう、悲しくて仕方がない。その作品の中に、沢山の自分を見つけた。どれだけ救われた事か。どれだけ心地よかった事か。どれだけ息苦しかった事か。どれだけ大切であった事か。その愚かさ、その情けなさ、その痛ましさ、その切実さ、その強さ。陰鬱な苦しみも、温かな安堵も。すべて愛おしい。
苦しみに屈する事なく、足掻き続けていた。自分自身に対し、常に真摯であり続けるように。選び続けていた。その選択が、辛く、愚かと言われる類のものであっても。決して逃れる事の出来ぬ、暗く、静かな視線。明確な救いなど訪れるはずのない、喪失の哀しみ。溶け合い、境目を失う多くの私。ささやかな安堵、ようやく見えた光の温かさ。どれだけ浅ましくとも、どれだけ情けなくとも、どれだけ愚かであっても、目を離す事の出来ぬ、強さがあった。寄り添いたいと願う、切実さがあった。
『笑いオオカミ』、『葎の母』、『光の領分』、『寵児』、『燃える風』、『風よ、空駆ける風よ』、『真昼へ』、『ナラ・レポート』、『黄金の夢の歌』…大切であり、特別な本達。自分はずっと、津島佑子を読む。読み続けようと思う。