2016年3月11日金曜日

『いづみ語録』、鈴木いづみの事

狂騒。ずっと走り続けている。拭っても消えぬもの達を抱えたまま。こんなの、一つずつ解す事もなく消化する事もなく、溜め込んだまま蠢くまま粘り着くままずっと走り続けるなんて、出来るはずがない。自由であるために苦しみを背負う。何て不自由な。這っているようにも見える。
決して快いものではない疾走。不安定で、危うくて、気紛れで。掴めない。掴みたくない。だが強烈に感じる。諦めも絶望も哄笑も。虚無感も。冷めているのに。渇いているのに。気怠い熱の、厄介さを感じる。強い瞳、柔らかな肌。黒々とこびりついた苦しみ。決して綺麗ではない抉り方。鈍く不都合な痛みを残す。



いづみ語録
いづみ語録
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鈴木 あづさ 文遊社編集部 荒木 経惟
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