2016年3月23日水曜日

鈴木いづみ『いづみの残酷メルヘン』

どうしようもない。拙くて、下手くそで、本当にもう、どうしようもない。言葉は不要とばかり少なく、危うい熱を秘めた、視線と抱擁がある。燃え尽きる瞬間まで、足早に駆け抜けようとする熱情は、不快なだけではない痛みを残し、それ故にタチが悪い。
自由であるために、沢山の偽りを羽織っているような不自由さ。何枚も何枚も。進んで課した重みを背負ったまま、彼等は自由を這い続ける。酷く気怠げに。酷く物憂げに。酷く見苦しく。だが、それでも、不器用でイビツな自由をこそ愛し、自分自身が作り上げた罪の、償いの中にしか、居場所はないと言うのだし、本当にもう、どうしようない。



いづみの残酷メルヘン
いづみの残酷メルヘン
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鈴木 いづみ
文遊社
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