笙野頼子の言葉は快い。凄まじい勢いで流れ、渦巻き、破壊する。救う。その奔流に飲み込まれる、身を委ねる快さたるや。同時に松浦理英子の言葉も堪能出来る贅沢。生真面目で緻密で、繊細な粒の、冷たい輝き。自分の好きな方の松浦理英子。この嬉しさたるや。
互いを測りあい、当てはめあい、しかし、測り切れず、当てはめ切れず、はみ出し抜け出してしまう事さえ楽しんでいるかのような。嫌われてしまうのではないかと恐れつつも、そんなやり取りを互いに楽しんでいるかのような。兎に角終始最高である状態。自分にとってはずっと堪らない一冊。
笙野頼子の本の中にも自分は結構な数の自分を見つける。笙野頼子がその作品の中に持ち込んだものの多くへ抱く共感(自惚れも多分に含む)と言うべきか。糧であるそれもまた。自分にとって。大きな糧。
松浦 理英子 笙野 頼子
河出書房新社
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