闇に溜まり、滞る情念。晴れる事なく、炎と化し、激しく、黒々と迸り、己が身へと迫り来る様は。何と魅惑的に映る事だろうか。現よりも闇の凄惨さを愛し、その深淵を覗き込むものにとって。甘やかに溢れ出で、自らを誘うよう濃艶に立ち込める様は。何と煽情的に映る事だろうか。
繰り返し、繰り返し、彼等は闇に戻り続けるのだ、と思う。いつであっても、どこであっても、誰であっても。確かさを捨て。溜まっている。満ちている。開けば戻れるのだ、と思う。
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エッセイもよかった。身近さを感じ取れば安心し。あの妖艶なる作品群、あの美しき世界を今尚生み出し続ける心の深遠さに触れれば感嘆し。ますます惹かれる。
皆川博子
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