2016年8月18日木曜日

『カモイ・ヴァラエティ 鴨居羊子コレクション3』

《私はワクにはめられるのも、整理されるのも嫌いだ》と言うけれど、そもそも事出来るはずがない。どうしたってはみ出てしまう。整わない。ゴチャゴチャと乱雑で、しっちゃかめっちゃかで。犬もいる。猫もいる。人もいる。仕事もある。料理もある。旅もある。絵もある。いっぱい持っている。どれ、とかではない。そのすべてが鴨居羊子。何をやっていても。泣いたり、笑ったり、わめいたり。それも全力で。生きているなあーっと思う。鮮烈。その輝きも。騒がしくて、愉しくて。哀しくて、寂しくて、厳しくて。賑やかで、自由で、不自由で。図太くて、たくましくて、繊細で。泥臭くて、ひたむきで、カッコよくて。鮮烈。最高にイカしているなあーっと思う。

やはり鴨居羊子はスバラシイと感じる。燦々と燃え、輝いている。漲っている。溢れ出ている。迸っている。魅力が。何もかもが魅力で出来た人なのではないかと思う。己の心に芽生えた熱情を見過ごす事なく、難事であっても挑み、全力を尽くす。媚びなど入り込む余地のない、真剣なその姿の美しさたるや。時には不貞腐れたり、迷ってみたり。けれど、明け透けな愚痴や弱音さえ、何かこう、魅せる。眩し過ぎない。心がほぐれる。そのすべてが必要な事だと思える。自分にとっての最良、最良の愉しみ方、最良の愉しさを知り、それを追い求め続け、掴み続ける人。このトキメキ具合。自分は惚れているのだな、と思う。鴨居羊子に。



カモイ・ヴァラエティ (鴨居羊子コレクション)
鴨居 羊子
国書刊行会
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