読書と感想と記録
個人的な読書の感想と記録。金井美恵子のファン。
2016年11月18日金曜日
多田智満子『詩集 祝火』
暗がりに人知れず佇む骨のように、散り、黙し、潜みて支柱となる骨のように、硬く、白々と不気味であり、蠱惑的である言葉。生と死、その中で触れ、その中で見るすべてが不可思議である事の当然さを。夢と現、自在に往来し得るその境目が酷く曖昧である事の当然さを。語り示す言葉。眼前に現れる何もかもを容易く受け入れる事が出来てしまう感覚を。密やかに眠り続けていた予感が、確信が目を覚ます感覚を。鮮やかに指し示す言葉。
突き刺さるよう。サラサラと砂と化すよう。少し怖いような気さえする陶酔の時。
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