2016年11月25日金曜日

高橋たか子『君の中の見知らぬ女』

多くを脱ぎ、多くを捨て、越えて行く。成るため。近付くため。達するため。間違える事なく。背く事なく。それは静かで、眩くて、あまりにも遠く、難しい旅。その途上にあるもの。直向きに目指すもの。着実に進み行く自分自身を、幸せであると言う。穏やかに。けれど力強く。
自分自身の内にあるものの。いつよりあるのか、自分自身にさえわかり得ぬものをも内包している事の。不可思議さ。漠然と広がり、際限を持たぬと言うその怖さと向き合い続けて来た果てに。気付き、選んだ道であるが故に。幸せであると言う。強い確信と共に歩むが故に。その姿はあまりにも遠く、難しく、眩い。行ってしまったと。もう届きはしないのだと。残され嘆くものの言葉が木霊する。



君の中の見知らぬ女
君の中の見知らぬ女
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高橋 たか子
講談社
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