2016年12月16日金曜日

森茉莉『贅沢貧乏のお洒落帖』

眺め、まとい、身に付け、包まれ。思う存分享受する喜び。美を。その色、その香り。その輝きが秘する物語ごと。楽しみ、耽り。思う存分享受する喜び。森茉莉にとってそれは。際限なく語り続ける事が出来る、無尽蔵の喜びであったのだと。惜しみなく愛し続ける事が出来る、無尽蔵の美しさであったのだと。夢想する。
美に対する、或いは美を表現する事に対する森茉莉の目敏さ。貪欲さ。直向きさ。求め、見出し、愛する際。言葉を集め、用い、配する際。発揮するその。自分が森茉莉に惹かれるのはそれ故。森茉莉を読む時、自分がただ浸っていたいと願うのはそれ故。その目敏さ。その貪欲さ。その直向きさを信じるが故。
森茉莉そのものが。そもそも無尽蔵の人であると思うのだけれど。どこまでも行ける人。

黒柳徹子の解説がまた凄くいい。相思相愛の楽しさ。二人でおしゃべりした事を、もっときかせて欲しい。



贅沢貧乏のお洒落帖 (ちくま文庫)
森 茉莉
筑摩書房
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