2016年12月9日金曜日

佐藤亜紀『激しく、速やかな死』

ものの見せ方を知り尽くす人のやり口、今回も。その屑っぷりであるとか。退廃加減であるとか。行き詰まり具合であるとか。荒れ果て様であるとか。どうしようもなさであるとか。無意味さであるとか。くだらなさであるとか。愚かさであるとか。醜さであるとか。避けられなさであるとか。当然さであるとか。虚しさであるとか。静けさであるとか。最も映える見せ方をする。如何にそうであるか、最もわかる見せ方をする。此方は忙しい。その都度この上ないやり方(しかも多彩)で魅了して来るために。笑ったり嫌悪したり怯んだり、浮き沈みが激しい。
「弁明」が好き。天才か佐藤亜紀。やっぱり天才なのか。サド侯爵の活かし方…。何そのズレっぷり。ボケ倒しみたいになっていますけれども…。素晴らしすぎる掴みの一編。


激しく、速やかな死
激しく、速やかな死
posted with amazlet at 16.12.09
佐藤 亜紀
文藝春秋
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