2016年12月29日木曜日

ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』

何だこれ面白い。不思議な後味。晴れやかとかスッキリとは違う。かと言ってもやもやとかグズグズなどとも違う。事件がちゃんと解決しても、謎がちゃんと解き明かされても、此方は狐につままれたような感じなのだけれども。全然着地出来ない。ずっとフワッフワ。いや、納得出来ないとか、そう言う訳ではなく。そう言う事ではなく。事の顛末は見聞きしていたし、真相もわかったのに、自分は今何を読んでいたのだろうと言う気持ちになる不思議。
間を置きたくない感じ。次々読みたい感じ。何せ軽やかなもので。衝撃的ではないし、陰惨でもないし、痛快でもない。ただずっとこの冗談みたいな後味が続く面白さがあって、それが凄くいい。不思議。



二壜の調味料 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ロード ダンセイニ
早川書房
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