美も醜も善も悪も区別なく混在し、それぞれがバラバラに疾走する感じ。皆(魔都に潜み、魔都に棲息している、と言った風な人々)精一杯活躍し、暗躍し、出来る限り頑張るのだけれども、誰も抜きん出て来ない感じ。惜しい所まで行く人もいるのだけれど、語り手には到底敵わない感じ。語り手と言う絶対的な支配者に、結局は手綱を握られている感じ。魔都の怖さを示し尽くそうとする語り手に。結局は皆、利用されているに過ぎない感じ。物凄くいい。
何と瀟洒な。とてつもない牽引力。凄まじい。久生十蘭は凄まじい。久生十蘭が魔術師である事。それも稀代の魔術師である事。読み始めてすぐに思い出す。そして再び、更に思い知る。気がつけば術中にはまっている。