彼等はいちいち引っ掛かってしまう、どうしても。隠しても隠し切れず、彼等は群れの中にも、流れの中にも、全然紛れ込む事が出来ない。この世界にあっては生き辛さとなる類のそれ。異質さであると分類されてしまいがちな類のそれ。そのせいで悲しい思いをしたり、酷い目にあったり、大いに悩む。ぐるぐるぐるぐると、諸々しあぐねて、大いに悶々する。けれど結局はまた立ち止まってしまう、どうしたって立ち止まってしまう、立ち止まらずにはいられないやるせなさよ…。
なんじゃこりゃ、こんなのもあったのか多和田葉子、と最初は驚いたけれど、読後残ったものを見ればしっかり多和田葉子、紛れもなく多和田葉子であったと思う不思議。