2017年9月18日月曜日

笙野頼子『猫キャンパス荒神』

要塞。薄白くて、清潔で、静かで、強固な、要塞。自分にとって、笙野頼子は要塞。どこまでも強くなって行く、どこまでも複雑に、厚く、固くなって行く、要塞。そこに行けば。その中に入れば。負けない。守られる。復活する。生きられる。また生きて行けると思える。
今回は特に苦しかった。息がつまるような苦しさを感じる瞬間が、しばしばあった。伴侶猫のこと。失ったこと。失った後のこと。そしてあの日のこと…。もう止まってしまうのではないかと、不安になった。けれど読み終える頃にはやはり、安堵していた。確信していた。いつもよりも確かに、自分もまた大丈夫だと思えた。

笙野頼子と言う要塞。そこに行けば。その中に入れば。生きて行く上でとりあえず、自分が適当に身に付けていたもの達…急拵えの、或いはどこかで拾ったものである武器や武具は自然と、剥がれ落ち。自分は自分自身になる。そこに行くのは。その中に入るのは。武装するためなどではなく。戦うための、道具を得るためなどではなく。自分自身を救い、治し、強化するため。また生きて行くため。



猫キャンパス荒神
猫キャンパス荒神
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笙野 頼子
河出書房新社
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