2017年9月21日木曜日

金井美恵子『ページをめくる指』

絵本の世界。やがて愉悦となるもの達。いつか思い出す時。愉悦となり、熱く込み上げて来るもの達。忘れては思い出し。思い出すと言う甘美な瞬間を、幾度となく体験する為に忘れては。当然のごとく思い当たり。思い出し。繰り返し反芻する事になるもの達。今初めて出会い。ゆっくりと蓄える。今再び出会い。ゆっくりと堪能する。
ページをめくる喜び。甘く、慕わしく、密やかなあの喜びは。ページをめくり、読む、と言う行為は。ページをめくる、”今”だけで完結してしまうものなどではなく。また次の物語へと繋がって行くもの。時には意外な、かなり遠い所にまでも飛んで行き。時には何か別の、思わぬ情景を運んで来たりもするもの。やがて再び同じ物語へと私を導き。懐かしさで、愛おしさで、或いは驚きや失望で、私を満たして行くもの。

しかし殆どが石井桃子訳と言う凄さよ…。一層憧れが膨らむ。あの喜びも、あの快さも、辿って行けば確かに、石井桃子がいる。



ページをめくる指
ページをめくる指
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金井 美恵子
河出書房新社
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