その時間分、詰まっていて、雑多であり、宝箱のよう。葛籠のよう。行李のよう。ジュエリーボックスのよう。バニティケースのよう。夢を含み。幻想を含み。毒を含み。熱を含み。夜を含み。変化を含み。日常を含み。期待を含み。充足を含み。持ち主が離れても。自ら息吹き。密かに薫り続ける。密かに煌めき続ける。
自分にとって特別な宇野亞喜良は、皆川博子の『絵小説』、特に「あれ」の、深く、妖しく、恐ろしく、密やかな暗闇に浮かび上がる、あの絵…。皆川博子の言葉と、溶け合っている。「あれ」を思い出す時、イメージは言葉でもなく、絵でもなく、言葉と絵が溶け合い、一つの魅惑と化したもの。
宇野 亜喜良
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