2018年3月2日金曜日

清水博子『ぐずべり』

なあなあが基本。うやむやが基本。ごっちゃになって、訳がわからない事。誰も見分けようとしないし、正そうともしない。似たような事、同じような事、一緒くたにしたまま、なし崩しのまま、けれどずるずる引きずる。変にこだわる。無駄に押し付けてくる、が基本の付き合い。七面倒くさいの極み。関わりたくないの極み。
かなりうっとうしい。かなりだるい。そんな基本を嫌がって、それを基本とする中に溶け込む事を嫌がり続けて生きにくそうにしている人の方が、そりゃあ気になるに決まっている。難しくても不毛でも、紐解こうとしている人の方が。不機嫌に、あまりうまいとも思えないやり方で抵抗し続けている人の方が。一緒にいて楽しいに決まっている。全然やる気のない所とか、気怠そうな感じとか、ほぼ漂流に近いその状況も含め。思いあぐねてたまに座礁しかけるその不器用さも含め。笑っちゃうけれど、心地よいに決まっている。
ああ、それ知っているかもしれない、自分にもあるかもしれないと感じる事多し。なんだか諸々思い出す。思い出してしまう。むずむず、いたたまれない感じ。気恥ずかしくて痒い痒い。ちょっと気持ち悪くなって来た。あまり思い出したくない類の事。あまり思い出したくない時分の事。黒歴史みたいなもの。けれどまあ、それはそれでそんなに悪いものでもなかったかなと今は思うような事。



ぐずべり
ぐずべり
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清水 博子
講談社
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