くも「死んでるから、元気でも元気でなくもないぞー。なんだかよくわかんないぞー」〉
〈私「ただいまー、死んでるかーい」
くも「はーいー、死んでますよー。花ちゃん、いつこっちに来るんですか?」〉
ハナさんと、お化けの皆様。ハナさんと、愛猫くものお化け。生きてこの世にいるハナさんと、死んでしまってあの世にいる皆様方。こちら側より、あちら側の皆様へ。ハナさんの一人二役。確かにお化けであるよな、と思う。あちら側にいってしまった皆様は、確かにお化けであるよな、と。こちら側で遭遇すれば、それは確かにお化けであるよな、と。こちら側から話し掛けたり報告したり頼み事をした時、返事があれば、それは確かにお化けであるよな、と。会えたとしても、お話出来たとしても、お化けはお化けであって、生きていない訳で、そこにはどうする事も出来ない隔たりが存在している訳で。寂しいような、悲しいような、怖いような、それでいて心地よいような、何だか不思議な、堪らない気持ちになる。
ハナさんは相変わらず溶け込んでいる。あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、行く先々の光景に馴染んで、溶け込んで、この世を生きている。今も昔も。ハナさんの本を読むと、ふわふわする。ハナさんの文章と写真を介して、自分は今と昔を、ふにゃふにゃっと、音もなく行き来する。お化けではない故人と、その時分のハナさんを、自分はぼんやりと眺める。ハナさんの記憶に溶け込むようにして、ぼんやりと眺める。それはとても居心地のよい事で、そのまんま、いつもついつい長居してしまいそうになる。